福王寺山道の松に珍しいキノコ
 安佐北区亀山の名所、福王寺への参道で4月21日、参拝者が松の木の幹に無数のキノコのようなものが付いているのを見つけた。見たことのない幹の状況を撮影し、キノコのようなものの実物も中国新聞ファミリー可部

編集室に持参した。
 珍しい光景に出合ったのは亀山6丁目の藤森幸子さん(64)。自宅の裏山にある福王寺の春の大祭に参拝した帰り、山上の駐車場から車道ではなく山道(登山道)を歩いて下山。展望台近くの道の脇で松の木を目撃した。
 「いつもは車道を歩くが、参拝客にまじって山道を下山した。シカやイノシシ、クマなどで山の生態系が変化していることに思いを寄せながら樹木を見ていると、立ち枯れした幹周り1・2bのマツの木1本の皮に、ピンポン玉より少し小さい、かわいいキノコのようなものが無数に付いていた。まるで絵本の世界のような光景に思わずシャッターを押した。美しく、不思議なマツは、その1本だけだった。キノコにしては小さい…」と藤森さん。キノコのようなものを1個持ち帰った。
 マツは枝が枯れ、幹には亀の甲のような厚い皮があって、その皮の切れ目から直径2〜4a前後の光沢のある褐色のキノコのようなものが生えていた。まるで五線譜の音符のよに。
 編集室では、さっそく広島県緑化センター・県立広島緑化植物公園(広島市東区)きのこアドバイザーの川上嘉章さん(60)にお聞きした。
 「これはヒトクチタケです。硬くて食べられませんが、宮島ではサルが食べるという話を聞いたことがあります。漢字では『一口茸』と書くようです。キノコが成熟すると裏側に人の口に似たような穴が空きます。そこから中の胞子が飛んでいきます。マツが枯れると穿孔虫が開けた小さな穴からこのキノコが発生しているようです。木全体が枯れ穿孔虫による穴が多ければたくさん発生する可能性があります」と川上さん。
 「キノコは表面がつやつやしていて目立ちます。においに特徴があるので少し離れたところでもキノコの存在がわかります。腐りにくいので結構、長持ちします。長く生えているというより、一回生えたら長い間残っているということで、今以上に大きくはなりません。色は黄褐色や栗褐色で、この色から変化はしないが、古くなると色があせたり黒っぽくなります」と詳しく解説していただいた。
 藤森さんの「絵本のような世界」はヒトクチタケの群生だった。