地域でいま 3月
安佐市民病院建て替え場所
地域の同意得て新年度決定 新病院計画詳報
 

 現在地か荒下地区か―で注目される広島市安佐北区可部南の安佐市民病院(多幾山渉院長)の建て替え場所決定は、4月以降の新年度に持ち越されることになった。
 市は建て替え計画が具体的に動き出す建て替え関連の経費を2013年度当初予算案に盛り込まなかった。現在地か移転候補地の亀山南・荒下地区(県住跡)かで住民などの意見が分かれていることを理由に建設場所の結論を先送りした。今後、市は白紙の状態で検討し、地域の同意を得て結論を出す方針。
 市病院事業局は建て替え場所の決定に先がけ、2月までに安佐北区内9カ所で自治会連絡協議会役員を対象に、現在地と荒下の2候補地の規模や機能など構想案を説明し、住民の意見を聞いた。特に地元の可部地区では1月の大林をスタートに2月の三入東を最後に夜間も含め全学区7カ所すべてで説明。住民の関心は高く、200人余が出席した所もあった。9会場の出席者は計550人に上った。
安佐北区で候補地2案説明、意見分かれる
 安佐市民病院周辺の可部南学区町内会自治会連絡協は昨年、現在地での建て替えを求める要望書を市に提出。地元の団体は2月から署名活動を始めた。高陽地区などでは旧町の合併時の合意で現在地に決まった経緯も挙げている。
 一方、亀山南学区内の荒下、河戸、長井、瑞兆苑などの地元自治会は、JR可部線の電化延伸で荒下地区に新駅が建設される利便性や地域の発展のために移転を求める要望書を市に提出している。
 しかし、松井一実市長は病院の移転検討と電化延伸は別問題としている。
 2候補地の説明に当たった市病院事業局事務局の山本正己局長(58)写真=は「説明会には自治会役員と役員以外の方も出席され熱心に聴いてもらった。いろいろ意見も出、非常に参考になったが、全体から見ると現在地と荒下の2案の支持は半々のようだった。特に移転する場合、高齢化する中で安佐北区の広い地域からのバス便を心配する声が多かった」と総括。
 「今後は改めて2案に対する各自治連の要望を確認。これに対する回答をし、再度、要望を聴くなどして多くの同意を得る手順を踏みたい。すでに出ている各団体からの要望も考慮したい。引き続き地域の同意に努力し、新年度の早い時期に結論を出したい」と話している。
 市は13年度中に建て替え場所を決め、基本計画などの関連予算を計上する場合、補正予算となる。その予算審議を通した市議会の場所の選択も注目される。
 安佐市民病院は広島市北部と県北西部の拠点病院として33年前の1980年に完成。国が病院の建て替え・改築の目安とする築39年に近づき、耐震基準も満たしていない。2011年の入院患者数は約1万3千人。10年の外来患者数は4万4千人で、可部・安芸高田地区の患者が32%を占める。市内他の区26%、高陽・白木20%、安佐・北広島・安芸太田13%、備北・島根など9%。
建て替え機に医療機能充実 
 市は建て替えに当たって新病院は「高度で先進的な医療機能の充実」を目指す。がん治療や心筋梗塞、脳卒中、救命、周産期、変性疾患、災害の各医療を充実。救命救急センターの設置も視野に入れ、ヘリポートも作る。北部の病院支援と患者の受け入れでは、医師の派遣や研修機能で勤務医を支援。患者や家族の宿泊にも対応する。
 開業医師との連携を強め、地域に開放するスペースを確保するなど、地域に根ざした取り組みを高める。患者の視点に立った医療の提供では診療情報を提供し、相談業務も充実。駐車場を増設する。医療スタッフの研修や子育て機能を完備する。
 これらの機能アップに伴う必要な面積は病室の整備5万平方b、医師の研修・宿泊施設880平方b、地域開放型の利便施設(特産品の直売、休日駐車場スペース)2400平方b、医師・看護師の住宅・院内保育所4200平方bなど、建物の延べ床面積は5万8千平方b。現在の3万6千平方bの約1・6倍の面積が必要。駐車場は現在の732台(患者用300台、敷地外職員用432台)より268台多い1000台分を確保する。
 新病院の総事業費は300億円を見込む市は「2候補地とも、現在、計画・拡充しようとしている医療機能はすべて実現可能」としている。



 
安佐市民病院建て替え場所
市説明2候補地の特長、課題

現在地案

@交通の利便性
 車=国道54号からJR可部線を横断し、渋滞するが、国道から近い。県道広島―中島線が接続する高陽―可部線に面している。
 バス=国道54号のバス停から徒歩4分。
 JR=中島、可部両駅の中間。中島駅から徒歩8分。
A建て替え時の予想される影響
 患者の不便=長期(7年)の工事による騒音、振動などによる診療への影響を懸念。建物の段階的な整備で診療室を再三変更するので患者に負担。
 駐車場の減少=工事場の確保で駐車場が大幅に減る。
 工事中の減収と病院からの患者離れ=他の市民病院で実証ずみ。
B建設期間=▽基本構想・基本計画・基本設計・実施設計=4年(2012〜15年度)▽工事=7年(16〜22年度)合計11年。
C道路整備
 可部高校入り口でストップしている可部―大毛寺線と安佐市民病院前で中断の高陽―可部線の整備を促進し、病院周囲の慢性渋滞を解消する。
D建物=北館を除く既存の建物を順次解体して新館を建設。地上10階。
E駐車場=患者用500台分を確保、職員用432台(民間駐車場を個人借り)
F荒下地区に移転後の現病院の跡地活用
 跡地は地域の活性化に活用する。若者などが多く集まり、地域に活力が出る施設や高齢者が安心して暮らせる設備を整備する。考えられる施設は医療・福祉を学ぶ大学や学部、学生の実習の場にもなる高齢者・障害者の福祉施設、サービス付き高齢者向け住宅、区民のふれあい・憩いの施設など。
 跡地の一部を売却し、代金を道路整備費に充当することも検討。

荒下地区案

@交通の利便性
 車=国道54号から西1・2`と遠い。周辺道路の整備が不十分。県道広島―中島線から遠く可部線を横断する。
 バス=現在、運行は1日5便。国道54号から遠い。
 JR=可部線の延伸で新駅ができれば病院と直結。
A建て替え時の予想される影響
 現病院で診療しながらの工事なので患者への影響はない。しかし、以下の課題がある。
 アクセス=車、バス利用では現状を放置せず、早急に整備する必要がある。
 病院用地の整備=用地の荒下県住跡(6・7f)は太田川沿いにあり、地盤を3bかさ上げし、堤防の護岸整備を前倒しで実施する必要がある。
B建設期間=▽基本構想・基本計画・基本設計・実施設計=4年(12〜15年度)▽工事=3年(16〜18年度)合計7年。 
C道路整備
 新設病院への道路を整備し、アクセスを確保する。
 ▽可部バイパスの4車線化=JR中島駅付近の国道54号別れの入り口から191号交差点までの4車線化を国に要望へ。
 ▽可部バイパス高架(安佐北署前)南の交差点付近から病院までの太田川堤防上に道路を整備し、工事車両と病院利用者の通行の便宜を図る。
 ▽病院完成までに現在、工事中の県道宇津―可部線を拡幅する。
 ▽家電イオン西、亀山2丁目の可部―大毛寺線交差点と県道宇津―可部線を結ぶ安佐北3区128号線の一部を拡幅.。
D建物=地上8階
E駐車場=1000台(患者用500台、職員用500台)。
F新設駅
 可部線の電化延伸による終点駅と病院を直結し、来院者の便宜を図る。
G必要敷地面積=4万平方b。