地域でいま 9月
安佐北区の可部町と可部東にまたがる寺山公園が全面オープンして8月末で半年。可部の町並みを一望できる新名所として人気が高まっている。
 公園は寺山(102b)を削った平地部分と山の形を残す山地部分からなり、計10・4f。可部の町並み東の小高い山で、平地部分には遠くから屋上の白い塔が目立つ可部高校がある。2月28日の山地部分を最後に全面オープンした。
 完成は春から初夏にかけて時期的によく、新しい展望場所の完成とあって賑わった。 山地部分の2カ所の展望台に通じる遊歩道6ルートは、一部を除いて子どもも楽に登れる距離とこう配。各地の子ども会や女性会、高齢者、野外活動グループなどが相次いで訪れた。特に西側中腹の展望台は山頂以上に可部の町並みの眺望に迫力があり好評だ。平地部分から見る可部の町並みの夜景もきれいだ。
 山まゆ同好会が作ったヤママユガ飼育のネットが続くヤママユの森遊歩道(全長85b)は、かつての可部の伝統産業の山繭織りを学習する生きた教材の場。小中学生やヤママユを手がけるグループが相次いで訪れる。

賑わいの陰に地元団体の協力
 山地部分は地元の「寺山公園をつくろう会」が3年半かけて整備したことで知られる。つくろう会と山まゆ同好会の会長を兼ねる小田貢さん(81)=可部東1丁目=は「子どもからお年寄りまで多くの人が山に登られる。会員は公園管理のためヘルメット姿で遊歩道を巡回し、感謝の言葉をもらうと、かつての荒れた山の作業の苦労も吹っ飛ぶ。会の仕事は、まだ上原神社周辺の古木を整備する『明るい森づくり』が残っている。山頂からの眺望360度を実現したい」と、つくろう会を継続する理由。
 三入公民館の活動グループ「ヤママユのつどい」は6月2日、ヤママユの森で15人参加の勉強会を開いた。つくろう会のメンバーである山まゆ同好会の副会長で同つどい担当の桑原豊さん(74)=桐原=は「延べ120日出て完成した公園で勉強会を開くのは感無量。ヤママユの見学は可部地区や安芸高田市からも小学生が訪れる。岩手の大学教授も視察するなど全国的にも知られつつある」とヤママユの森の育成に力。
 同好会にとって目下、ネット内でのマユの形成が悪いのが悩み。ハチなどの外敵を防ぐためネットの網目を小さくしたり、自然界のガの卵を取り入れて育てるなどの研究が続く。
 5月13日に子ども2人を含む39人の大勢でハイキングに訪れた亀山南学区体協野外活動部部長の住田健二さん(65)=亀山南5丁目=は「野外活動部のハイキングは30年間で県内外へ45回、延べ3061人が参加する伝統ある行事。参加者が高齢化する中、今年は近場の寺山へ往復で徒歩5時間のハイキングを試み、山からの眺望が好評だった」と参加者が新しい発見をしたことを喜ぶ。
 公園の平地部分は多目的広場。市の委託で週3回(木、土、日曜)プレーパーク(冒険広場)を開設、運営するNPO法人子どもネットワーク可部委員長の増谷郁子さん(56)=可部4丁目=は「プレーパークの常設は2年になり、参加する子どもも回を重ねるごとに『自分たちの大事な遊び場』の意識が芽生えるなど著しい成長が見られる。条件が整えば週5日開催も模索したい」とプレーパークモデル事業としての取り組みに力が入る。
 プレーパークの開設と運営に参画する寺山にプレーパークをつくろう会会長の田川国臣さん(51)=可部8丁目=は「イベント形式で河川敷などで開催した努力が認められ、寺山でのプレーパークが実現した。訪れる子どもは100人以上のときもある。子どもにとって初体験の遊びはすべて冒険。求めている遊びをプレーに反映したい」とつくろう会を存続して取り組む。
 寺山公園をつくろう会は市と山地部の維持管理に関する協定を結び、月1回の遊歩道の巡回や清掃を実施。完成後も公園に力を注ぐ。
 公園の全面オープンから半年を経て安佐北区役所維持補修担当課の松本栄児課長(59)は「寺山公園は可部地区の理想的な位置にある総合公園で、楽しく憩える場所として利用者が増えることを願っている。平地部分から山頂に上がる階段の遊歩道は上部の階段沿いにも手すりを、との声もあり、全体のサクの整備と合わせて検討したい」と今後もよりよい公園を目指して手を加える方針である。
 




寺山公園
 山地部と平地部に分けて整備
 寺山公園は市が2002年に基本設計を策定。造成は寺山を可部東の平地部分と可部町側の山地部分に分けて進められ、総事業費は18億6000万円。
 可部高校に隣接する駐車場と多目的広場の平地部分4・6fは一足早く08年に完成。地元のNPO法人子どもネットワーク可部が子どもが自由な発想で工夫しながら遊ぶプレーパーク(冒険広場)を運営し、好評だ。
 山地部分5・8fは基本設計後、市は経費節減で市民参加による整備を実施。地元10団体が08年に「寺山公園をつくろう会」を結成し、会員が週1回のペースで3年半かけて遊歩道や展望台を作った。手がけた遊歩道は6ルートのうちヤママユの森、上原神社、観音、水晶谷、上原橋の計5ルート、延べ878b。展望広場は町並みが一望できる山頂など2カ所。市は残る1ルートと、平地と山地部分をつなぐ歩道橋を設置した。
 ヤママユの森ルートには、同会の構成団体「可部山まゆ同好会」が歩道の左右に地元の伝統産業だった山繭織りの糸になるマユを作るヤママユガの飼育展示スペースを設けた。ガのえさになるクヌギやアラカシ計約100本を植え、シカよけのネットを張っている。