虹山3区
は組    特大
天狗みこし ワッショイ!  地域でいま 11月
安佐北区亀山南3丁目、両延神社の秋季大祭
 (10月25日)に珍しい「天狗みこし」が登場して話題になった。
 天狗みこしを作ったのは亀山南5丁目の虹山3区(225世帯)まつり委員会(は組)。5年前の「獅子がしら」に次ぐ手作りみこしの傑作である。
 製作は暑い8月中旬にスタート。スタッフは獅子がしらを作った手先の器用な数人が中心。まず天狗の伝説がある紀州で入手した天狗面の正面、側面などを写真撮影し、その写真を投影して7倍の図面を作成。高さ2b、幅1・2bの発砲スチロールに図面を落とし、電気の熱線(ニクロム線)を使った削りやカッターナイフでの彫り込み、磨き、紙張りを経て面の原形が出来た。
 全体の色づけ、しわ、目、口の書き入れ、シュロを使ったまゆげやひげ。重さ約80`の特大の天狗みこしが祭りの2週間前に完成した。張り付けや塗りの乾燥を待ちながらの作業は実に2カ月を要した。
 祭りでは子ども会の約20人が天狗みこしを載せた台車を引いて町内を巡回。このあと、大人が担いで両延神社へ。125段の石段の参道には途中に随神門があり、立てた天狗面を寝かせたり、長さ1・3bの鼻を取り外して門をくぐる仕掛けは参拝者を感心させた。
 まつり委員会の森川憲司会長(65)は広告物製作業で工作物に詳しい。「3区の手作りみこしは約15年にわたって花、宝船、伊勢エビのほか、発砲スチロールでタイや獅子がしらを作った実績がある。経費は祭りの祝儀を材料費に充て、あとはスタッフの取り組みが頼り。今年は虹山団地の代表みこしとして奉納したのも意義深かった」と大役を終え、今後、天狗みこしの出番は3年間を予定する。
「獅子がしら」に次ぐ手作りの傑作
 みこし製作責任者の谷本勲さん(66)は会社員当時、ディスプレーを手がけた経験があり、展示物には詳しい。「亀や龍の話も出たが、威厳があり祭りに映えるものとして獅子の次は天狗となった。完成は、みんなのノウハウ結集と材料提供のおかげ」と、みこしは完成して一番に材料を寄贈した会社「友鉄ランド」へ運びお披露目した。
 製作スタッフは―。
 浅原許士さん(69)は、かつてバス会社で整備などを手がけ各種製作に強い。熱線によるスチロールの切断や削りを考案。台車には実家のリヤカーの車輪を持参した。今年は空き地にテントを張って作業場として提供し、台風で避難する苦労も。「製作の過程、過程での智恵も大事。根気のいる作業だが、ホームセンターに必要な塗料がなく時間がかかったのには閉口した」
長石一一さん(75)は器用に、ひょうたんやしめ縄を作ることで知られる。「海運会社に勤務当時から工作が好きで、物づくりには興味がわく。7年前からみこし作りに参加し、祭りで担がれるみこしを見ると感無量」
 中垣治之さん(68)は5年前からスタッフに。「出来上がりのイメージを頭に描きながら、作業の積み重ねで形が出来上がる。その過程の休憩や完成した時の一杯はうまい」
但馬多喜雄さん(68)は木工職人。みこし作りの傍ら今年も祝い歌の「広島木遣(きや)り音頭」でみこしを先導し、盛り上げた。「長い間祭りで歌っていると、かつて子どもみこしを引いた人が親になり、子ども連れで参加して『歌が懐かしい』と言われることがある。町内の巡回では20回前後歌い声がかれるが、充実感がある」
 虹山子ども会育成会役員の窪さとみさん(44)宅は子ども3人。今年小学4年の3男が祭りに参加した。「年間行事の中で、手作りみこしを中心とした秋祭りは年齢を超えた触れあいがあり意義深い。獅子も天狗も地域の皆さんの優しい心が顔に表現され、子どもたちの心を捕える」と地域の取り組みに感謝する。
 両延神社総代代表の増川計さん(70)=亀山3丁目=は「みこしは毎年40体前後が奉納されるが、虹山3区の趣向を凝らしたみこしは異色。製作期間の労力は大変なもので、祭りを盛り上げようという地域の皆さんの努力には敬服している。おかげで今年も賑やかな祭りになった」と無事故で終わった祭りに、ほっとした表情だった。