福王寺お宝  下山して街道民家に1日展示  地域でいま 10月
安芸の高野山霊場・別格本山として知られる安佐北区可部町綾谷の福王寺(住職・亀尾融外師)の珍しいお宝が11月1日(日)に1日だけ可部旧街道折目の民家に展示される。下山しての門外展示は初めて。拝見できるお宝を紹介するとともに、副住職就任から1年の亀尾祥宏師(25)に抱負などを聞いた。

 福王寺のお宝展示は、可部夢街道まちづくりの会など主催の第6回可部の町めぐりコースの見どころの一つで、展示場では亀尾副住職が説明する。山頂のお寺まで行きにくかった人には絶好の「お宝拝見の場」になる。
 まちづくりの会は県指定重要有形文化財「金銅五鈷杵」の寺外での展示に当たって市文化財課の許可を得た。今年4月に、まちづくりの会の2代目会長になった可部旧街道の深田雄治さん(77)=可部3丁目=は「今年の町めぐりは、賑わいを創出する多くの新しい試みを取り入れた。中でもお宝拝見は目玉。お宝を展示する古民家は旧街道の折目という名所にある。風格では街道屈指の建物で、珍しい出格子も付く。お宝と合わせ建物も見てほしい」と強調。
 まちづくりの会の梶川暢之事務局長(75)=可部2丁目=は「恒例の福王寺大祭も可部の名所としては人出が少ない。お宝拝見が今後の賑わいにつながれば」と期待し、展示場を受け入れた家主の協力に感謝する。
 家主の塚本英三さん(86)=可部3丁目43―31=は「先代はヤママユを扱う問屋だった。織機や糸紡ぎ器などは市の展示館に寄贈し、蔵にはまだヤママユがある。場所柄、由緒ある寺宝の展示場所として役立てば幸い」と話し、天井が高い土間や部屋での展示となる




福王寺副住職に就任して1年
亀尾祥宏(かめおしょうこう)師(25)に聞く

祥宏師は、多聞院(広島市南区)住職で福王寺住職兼務の亀尾融外師(52)の二男。仏教大学(京都)を卒業後、高野山と多聞院・福王寺で修行したあと、昨年9月から福王寺副住職。独身。「趣味を持つ暇はありません」という忙しい日々。

 ―副住職になられて1年になります。
 大学4年のとき、福王寺前住職の亀尾真生師(享年66歳)が遷化される前に私の手を取って「頼むよ」と言われた。これまで多聞院からの住職は父で3人目、亀尾姓は4世続く。弘法大師に代わってお勤めが出来る格式の高い寺だけに身が引き締まる思い。ただ、生まれ育った土地ではないので夢街道まちづくりの会や地元消防団のメンバーにも参加して地域の皆さんとのつながりを深めている。

 ―今回のお宝の門外展示について。
 福王寺を広く、深く理解していただく異例の展示。市の理解があって身近に見てもらうことができるのはいい。寺宝の金銅五鈷杵が県の重要有形文化財に指定された日から22年後の全く同じ月日に私が生まれたのも何かの縁を感じる。住職も私の代が40世の一つの節目になる。

「可部と言えば福王寺」の存在に
 ―どんなお寺を目指しておられますか。
 若い人が登り、地域の人が憩い、心のよりどころにする寺に。かつての遠足や林間学校を復活し、今の大人と同じ思い出を子どもたちにもつくらせたい。ぞうきん1枚で畳や板の間がどんなにきれいになるかを体験する場所になればいい。目下、学校に出向いて道徳の話もする。可部と言えば福王寺と言われる存在にしたい。

 ―お寺の体制について。
 地域の皆さんの尽力で登山道の整備も進んだ。境内のシャクナゲを充実し、シャクナゲ祭りをする提案もいただいている。地域との一体化には寺の総代さんの強化も必要で、真福寺(亀山6丁目)を含めて6人体制にするため、お願いする方と折衝中です。

 ―今後、周年祭開催の大役もあるようですが。
 開基年によって違う1200年祭をいつの時点で行うか、開催年は未定だが、いずれ近い将来に執り行うことになる。寺の祭りは、かつて人出が多く、参道も屋台で賑わった。祭りも増やして、ぜひ賑わいを取り戻したい。一方で、居心地のいいところ、心の修行をするところもお寺の役目です。1年たっていろんなことが見え、課題は多いことを痛感している




拝見できます!この福王寺お宝


@金銅五鈷杵(こんどうごこしょ) 1962年(昭和37年)7月20日県指定の重要有形文化財。室町時代初期の作。人間の煩悩(ぼんのう)を打ち払う修行の仏具。長さ23・5a。第4世住職の良海僧正(りょうかいそうじょう)が1394年(応永元年)に将軍足利義満から天下安全の祈祷(きとう)を託され、拝領したといわれる寺宝。





Aさざれ石 
 紀州の千里浜で見つかり、伊勢物語にも登場する。良海僧正が崇光(すこう)天皇(1348年〜1351年)から贈られたという説がある奇石。1977年9月3日の落雷による火災で原型を失ったが今も保管中。







B弘法大師の一生(行状)を描いた絵図 
 福王寺は天長5年(828年)に弘法大師(空海)によって創建されたといわれる。開基は弘仁年中(811年)とする説も。弘法大師の一生の暮らしぶりを3本の絵図に表わしてある。           (写真は部分)








C第26世・学如和尚書の掛け軸   学如和尚(がくにょわじょう)(1716年〜1773)は著名な僧。可部の生まれ。僧職の教えの有部律(うぶりつ)の道場を開き、多くの子弟が入門。全国の有部律3大道場の一つとして広く知られた。